なぜ「無意識」なのか

有限会社創運舎のブログです。 創運舎は、無意識から湧き上がる「衝動エネルギー」の働きを踏まえて、心と環境を安定させる指導を行なうとともに、無意識の探究で見出した生と死のメカニズムをお伝えしています。

2025年10月

無意識は、二つの作用によって私たちを制約する

私たちは、無意識から生じる衝動エネルギーが持つ、「強制」「投影」という二つの作用によって制約されています。

「強制」作用とは、衝動が意識活動に偏向を与える働きです。
無意識に蓄積されたデータが動き出すと、衝動エネルギーが生じ、まず、私たちの心をデータの属性に沿った方向に誘います。
例えば、怒りや支配性のデータから生じる衝動は、感情や判断に排他性、冷酷性、残忍性などをもたらします。
怒りっぽくなる、バイタリティが高まる、冷酷かつ高圧的になるなど、現れ方や程度は人それぞれですが、すべての人の意識活動が、本人の意志とは関係なく、普段よりも排他的、支配的な傾向を帯びることになります。

「投影」作用とは、衝動がデータの属性に沿った環境を外側に作り出す働きです。
この作用は、衝動を体現するような状況や人間関係を引き起こしたり、現実の出来事を介して衝動の質に沿った心の状態をもたらしたりします。
怒りや支配性のデータで言えば、会社や学校で誰かをのけ者にしてしまうなど、排他性、冷酷性を具現する出来事が起きます。また、苛立たしい言動をする人と一緒に働かざるを得ないなど、怒りの感情が刺激されやすい状況が生じるのです。

意識の活動のみならず、現実の環境までが、衝動エネルギーによって変化するなどとは考えにくいという方もいるでしょう。
しかし、「事実は小説よりも奇なり」と言うように、衝動の質を体現するような出来事が、思いもよらない時に、信じがたい確率で起こる例は枚挙に暇がなく、無意識にはそれだけの力があるのだと痛感せざるを得ません。

無意識からの制約

無意識から生じる衝動エネルギーは、〝無意識の見えざる手〟として、私たちの意識や環境に影響を及ぼしています。

感情、嗜好、欲求、認識、判断、選択など、私たちのあらゆる意識活動に対して、衝動エネルギーは様々な制約や制限を加えて、基本的な性格を方向付けたり、思考や言動を偏向させたりします。
それに止まらず、その人が置かれる現実の状況までも変化させ、人生の禍福を作り出します。
私はこの働きを「無意識からの制約」あるいは「無意識の制約」と呼んでいます。

制約のありさまは、鉄板焼きに例えることができます。衝動エネルギーの炎の上で、鉄板が熱く焼けています。そこに乗せられた肉や野菜が我々です。
炎の強さや広がり具合に応じて、焼かれた肉がブルブルと震え、野菜がはじけます。それは、衝動のストレスに意識が耐える様や、衝動によって環境が変わってしまう様そのものです。

このように私たちは、無意識の制約下に置かれたままで人生を送ることを余儀なくされているのです。

無意識はデータの塊

「無意識はあなたの願いを叶えてくれる」「無意識は何でも知っている」など、巷間ではしばしば、無意識が万能の味方であるかのように語られます。
しかしこれは、無意識の働きのうち、都合のいい部分だけを誇張しているに過ぎません。

無意識には、一般に認識されていない多くの働きがあります。中でも私が最も重要だと考えるものは、我々の経験を最深部のエリアに保存・蓄積することです。
保存・蓄積と言っても、「覚えている」「記憶している」ことを指すのではありません。黒鉛に一定の条件を与えるとダイヤモンドに変質するように、経験は無意識に蓄積される過程で質的に変換され、私が「データ」と呼ぶ状態になります。
言うなれば、無意識はデータの塊なのです。

データは無意識に蓄積されたまま、生涯潜み続けるわけではありません。
何かのきっかけで表層部へと動き出し、自らの属性を心や環境の上に具現しようとします
この時、動き出すデータによって力が生じます。これが「衝動エネルギー」であり、「内側の力」のうち、現実世界に影響を及ぼす部分です。
つまり無意識は衝動エネルギーの源泉にあたります。

無意識(潜在意識)について

心理学に興味のない方でも、「無意識」という言葉くらいは耳にしたことがあるでしょう。

私たち人間は、自分で認識しコントロールもできる「意識(表層意識)」という領域を、心のすべてだと思い込んでいます。
しかしその下には、「無意識(潜在意識)」という認識できない大きな領域が存在しています。
つまり、私たちが心のすべてと思い込んでいるものはココロの一部であって全体ではないということです。

一部に過ぎない「意識」が、全体を支配し統御することはできません。
私たちの人生は、往々にして思い通りにいかないものですが、実はその原因はここにあるのです。
意識できるエリアが自分のすべてだという誤った思い込みが、人生の悩みや苦しみに結び付いています。

これは私の活動の根幹となる考え方の一部であり、このブログの根底にもその考えが存在しています。

無意識という領域から湧き上がる内側の力

私が代表を務める創運舎では、次の二つを活動の柱としています。

・クライアントの人生を肯定的、建設的なものに変容させること
・人間という存在の探究

人生を〝変容させる〟というのは、物事の受け止め方を変えるといった次元ではなく、実際に心と環境を変えることです。
本当にそんなことができるのかと問われれば、自信を持って 「できる」 と答えます。なぜなら私は、私たちを背後から動かす力を把握しているからです。

実は、私たちは自分の意志どおりの人生を送ってはおらず、私が「内側の力」と呼ぶ、ある力によって背後から動かされています。

内側の力には、いくつかの側面があります。そのうちの現実世界に働きかける力を、私は「衝動エネルギー」と呼んでいます。
これは無意識という領域から湧き上がり、我々に絶えず影響を及ぼしています。意識に働きかけて感情や判断などを方向付けるとともに、周りの環境を変化させて人生の禍福を作り出すのです。

だから、衝動エネルギーの働きを知って利用できれば、人生を肯定的な方向に変えたり、新たな流れを作ったりすることが可能になります。
このブログでは、無意識や衝動エネルギーについてお話ししていきたいと思います。
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